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築20年超えの漆喰、どこから劣化する?—見落としがちな劣化ポイントと補修のタイミング

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築20年超えの漆喰、どこから劣化する?—見落としがちな劣化ポイントと補修のタイミング

漆喰(しっくい)は、日本の伝統的な建築材料の一つで、古くからお城や蔵、民家の壁や屋根に使われてきました。見た目が美しく、調湿性・耐火性に優れた優秀な素材ですが、時間の経過とともに必ず劣化が進行します

特に築20年を過ぎた住宅では、漆喰の劣化が目立ち始める時期に差しかかっており、放置すれば雨漏りや構造劣化につながることも。では、漆喰はどこから、どのように劣化するのでしょうか?
今回は漆喰の劣化が始まりやすい部位やサイン、そして適切な補修のタイミングについて詳しく解説します。

■ 漆喰が使われている主な場所

まずは、住宅の中で漆喰がどこに使われているのかを整理しておきましょう。

  • 屋根の棟(むね)部分:瓦の固定や隙間を埋める役割
  • 軒先まわり:雨水の伝いがある部分
  • 外壁(塗り壁):呼吸性に優れた自然素材の外壁仕上げ
  • 室内壁(一部の伝統住宅):湿気対策や意匠性として使用

この中でも特に屋根の棟や軒先は、風雨や紫外線、温度変化の影響を強く受ける場所で、最も劣化が進みやすい部位です。

■ 劣化が始まりやすい部位とその理由

劣化が始まりやすい部位とその理由1

① 棟(むね)漆喰の剥がれや崩れ

最もよく見られる劣化は、屋根の棟部分の漆喰の剥がれです。瓦屋根では、棟の内部に「葺き土(ふきつち)」という土が詰まっており、その上から漆喰で仕上げています。

築20年を超えると、以下のような変化が見られます。

  • 漆喰がひび割れる
  • 一部がポロポロと崩れ落ちる
  • 内部の葺き土が露出している

この状態を放置すると、雨水が内部に侵入し、棟瓦のズレや崩壊、さらには雨漏りへと進行します。

劣化が始まりやすい部位とその理由2

② 軒先やケラバの黒ずみ・剥がれ

軒先まわりの漆喰は、雨だれや跳ね返りの水分の影響を受けやすく、じわじわと劣化します。

以下のような症状が見られたら注意が必要です。

  • 漆喰表面の黒ずみ・カビ
  • 粉を吹いたような表面劣化(チョーキング)
  • 少しの力で剥がれる

この部分が劣化すると、見た目が悪くなるだけでなく、雨水の伝い道ができてしまい、構造部分まで水がまわる可能性もあります。

劣化が始まりやすい部位とその理由3

③ 南側の外壁漆喰のチョーキングやひび割れ

外壁に漆喰を使用している場合、南向きの壁から先に劣化が始まります。これは紫外線の影響が一番強く、日照時間も長いためです。

劣化のサインとしては、

  • 壁を触ると白い粉がつく(チョーキング現象)
  • 細かいヘアクラック(髪の毛のようなひび割れ)
  • 表面がざらつき、艶がなくなる

このような状態でも「見た目だけの問題」と思われがちですが、その隙間から雨水が侵入して内部の構造材を腐食させる危険性もあります。

■ 漆喰の寿命はどのくらい?

一般的に、漆喰の耐用年数は15年〜20年程度とされています。しかし、立地環境(海沿いや山間部など)や施工方法によっても劣化の進行具合は異なります。

例えば、以下の条件下では劣化が早まることがあります。

  • 強風が吹く地域(飛来物による傷、雨の吹き込み)
  • 塩害のある地域(海沿い)
  • 軒が浅い建物(雨が壁に当たりやすい)
  • 施工不良による厚み不足・密着不良

20年を超えた住宅では、「まだ見た目は大丈夫そう」と思っていても、内部で劣化が進んでいるケースが非常に多いのです。

■ 放置するとどうなる?漆喰劣化の二次被害

放置するとどうなる?漆喰劣化の二次被害

漆喰の劣化を長年放置した場合、以下のような二次被害が発生します。

  • 雨水の侵入 → 下地の木材が腐る
  • 漆喰の隙間に鳥や虫が巣を作る
  • 棟瓦のズレ → 瓦の落下や雨漏り
  • 壁のひび割れからシロアリ被害

これらはすべて、小さな漆喰の劣化を見過ごしたことが原因です。数万円で済んだはずの補修が、数十万円の大規模修繕になるケースも少なくありません。

■ 点検・補修のベストタイミングとは?


漆喰の劣化を防ぐためには、築15年〜20年を目安に一度点検を行うことが理想的です。特に以下のようなタイミングでは専門業者に相談するのがおすすめです。

  • 台風や大雨の後(外観に変化がないか確認)
  • 屋根や外壁のリフォームを検討中
  • 周辺の家で瓦工事や漆喰補修をしているのを見たとき

補修方法は、部分的な塗り直しから全面補修まで、状況に応じて様々です。最近では、従来の漆喰に比べて耐久性の高い改良漆喰や樹脂入り製品も登場しており、長持ちさせる選択肢も広がっています。

■ まとめ|漆喰の劣化は「静かに」「確実に」進む

漆喰の劣化は「静かに」「確実に」進む

築20年を超える住宅では、目に見えないところから漆喰の劣化が進行している可能性が高いです。
特に棟や軒先、南側外壁などは要チェックポイントです。
美観だけでなく、家全体の寿命に関わる重要な素材ですので、早めの点検・補修が何よりも大切です。

気になるひび割れや崩れを見つけたら、小さなうちにご相談ください。
丸山建設では無料点検・写真付きの調査報告書・保険申請サポート(無料)も行っております。お気軽にお問い合わせください。

ハレイロ
丸山建設(株)編集部
この記事は、丸山建設(株)の編集部で作成されました。
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