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【2026年4月25日更新】ホルムズ海峡が封鎖されるとシンナーや建築資材が値上がりする理由を詳しく解説

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【2026年4月25日更新】ホルムズ海峡が封鎖されるとシンナーや建築資材が値上がりする理由を詳しく解説
目次

ホルムズ海峡が封鎖、または通航しにくい状態になると、原油やLNGの輸送に大きな影響が出ます。

原油価格が上がると、原油から作られるナフサ、ナフサから作られるトルエン・キシレン・エチレン・プロピレンなどの石油化学原料が値上がりし、最終的にシンナー、塗料、接着剤、防水材、塩ビ管、樹脂建材、断熱材などの建築資材価格に波及します。

ホルムズ海峡は2024年時点で世界の石油液体燃料消費の約2割に相当する量が通過する重要ルートであり、日本は原油の中東依存度が9割を超えるため、建設・リフォーム業界にも影響が出やすい構造です。

ホルムズ海峡とは?なぜ日本の建築資材価格に関係するのか

ホルムズ海峡とは?

ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾・アラビア海を結ぶ海上交通の要所です。

サウジアラビア、UAE、クウェート、カタール、イラクなど中東産油国の原油やLNGが世界へ運ばれる際に通過する重要なルートで、エネルギー供給の「チョークポイント」と呼ばれます。

米国エネルギー情報局によると、2024年にホルムズ海峡を通過した石油は日量平均2,000万バレルで、世界の石油液体燃料消費量の約20%に相当します。

また、2024年には世界のLNG貿易量の約5分の1もホルムズ海峡を通過しています。

日本にとって重要なのは、単にガソリンや灯油の価格だけではありません。

日本は化石燃料の多くを海外から輸入しており、特に原油は中東依存度が9割を超えています。

つまり、ホルムズ海峡の通航リスクは、燃料代だけでなく、石油由来の化学品や建築資材の価格にもつながる問題です。

結論:値上がりの理由は「原油→ナフサ→化学原料→建築資材」の連鎖

値上がりの全体連鎖

ホルムズ海峡が封鎖されると、建築資材が値上がりする主な理由は、建材の多くが石油化学製品と関係しているからです。

流れを簡単に整理すると、次のようになります。

原油価格の上昇

ナフサ価格の上昇

トルエン・キシレン・エチレン・プロピレンなどの化学原料価格の上昇

シンナー、塗料、接着剤、防水材、樹脂、ゴム、塩ビ製品などの価格上昇

建築工事・リフォーム工事の原価上昇

経済産業省の資料でも、ナフサは原油を精製して作られる石油製品の一種であり、エチレンなどの基礎化学品に分解され、中間製品を経てプラスチック製品などに使われると説明されています。

さらに、ナフサ由来のサプライチェーンには、ポリエチレン、ポリプロピレン、溶剤、プラスチック、ゴム、電子部品、塗料などが含まれています。

シンナーが値上がりしやすい理由

シンナーが値上がりしやすい理由

シンナーは、塗料を薄めたり、塗装器具を洗浄したりするために使われる溶剤です。

建築塗装、防水工事、補修工事、設備工事などで広く使われます。

シンナーの価格がホルムズ海峡リスクで上がりやすい理由は、原料にトルエンやキシレンなどの石油化学製品が使われるためです。

国土交通省の建設業者団体向け文書でも、現下の中東情勢を踏まえ、トルエン等を原料とするシンナーを含む溶剤等について、安定的な調達への懸念があるとされています。

つまり、シンナーは「中東から直接シンナーを輸入しているから高くなる」のではありません。

正確には、原油やナフサ、トルエン・キシレンなどの上流原料が値上がりし、その影響が溶剤メーカー、塗料メーカー、商社、販売店を通じて、現場で使うシンナー価格に反映されるのです。

建築資材が値上がりする主な理由

建築資材が値上がりする主な理由

ホルムズ海峡の封鎖や通航制限によって建築資材が値上がりする理由は、ひとつではありません

複数のコストが同時に上がることで、資材価格に強い上昇圧力がかかります。

原油価格が上がる

原油価格が上がる

ホルムズ海峡を通る原油の供給に不安が出ると、世界の原油価格は上がりやすくなります。

原油価格が上がれば、ガソリンや軽油だけでなく、ナフサなどの石油化学原料の価格にも影響します。

建築資材の中には、石油由来の原料を使うものが多くあります。

塗料、接着剤、コーキング材、防水材、断熱材、樹脂製品、塩ビ管、床材、養生材、包装材などは、石油化学の影響を受けやすい代表例です。

ナフサ価格が上がる

ナフサ価格が上がる

ナフサは、石油化学産業の出発点になる重要な原料です。

日本のナフサ調達元は、2024年時点で国産39.4%、中東44.6%、その他輸入16.0%とされており、中東依存が大きい分野です。

ナフサ価格が上がると、エチレン、プロピレン、トルエン、キシレンなどの基礎化学品のコストが上がります。

これらは建材に直接・間接的に使われるため、時間差を置いて建築資材の価格に転嫁されます。

船賃・保険料・代替調達コストが上がる

船賃・保険料・代替調達コストが上がる

ホルムズ海峡が封鎖されなくても、通航リスクが高まるだけで船会社や保険会社の判断が変わります。

航行に時間がかかる、戦争リスク保険が高くなる、代替ルートを使う、別の国から調達する、といった動きが出れば、物流コストは上がります。

EIAも、主要なチョークポイントを石油が通過できなくなると、供給遅延や輸送費上昇が起こり、世界のエネルギー価格を押し上げる可能性があると説明しています。

在庫不足や流通の目詰まりが起きる

在庫不足や流通の目詰まりが起きる

価格上昇は、単純な「原料代アップ」だけではありません。

必要な資材が必要な地域や販売店に届きにくくなると、流通段階で品薄感が強まり、価格が上がりやすくなります。

経済産業省は、原油や石油製品については代替調達や備蓄放出により日本全体として必要量を確保している一方で、一部では「供給の偏り」や「流通の目詰まり」が生じていると認識していると説明しています。

この「全国には量があるが、現場の近くにはない」という状態が、建設・リフォーム会社にとっては非常に厄介です。

資材そのものの相場だけでなく、納期遅延、配送費、代替品の手配費、現場の段取り変更まで含めて、実質的な工事原価が上がるからです。

影響を受けやすい建築資材

影響を受けやすい建築資材

ホルムズ海峡リスクで影響を受けやすいのは、石油由来の原料やエネルギーを多く使う資材です。

特に注意したいのは次のような資材です。

シンナー・溶剤類
トルエン、キシレンなどの石油化学原料と関係が深く、塗装工事や防水工事で使われます。

塗料
樹脂、溶剤、顔料、添加剤など多くの化学原料で構成されます。外壁塗装、屋根塗装、鉄部塗装、防水トップコートなどに影響します。

接着剤・シーリング材
内装工事、外装工事、設備工事で多用されます。樹脂や溶剤の価格変動を受けやすい資材です。

防水材
ウレタン防水、シート防水、塗膜防水などは、石油化学製品と関係する材料が多く、原料高の影響を受けやすい分野です。

塩ビ管・樹脂製品
配管材、雨樋、樹脂サッシ、床材、巾木、見切り材、養生材など、住宅・リフォーム現場では樹脂系資材が広く使われています。

断熱材・フォーム材
発泡系の断熱材や樹脂系の建材も、石油化学原料の価格や供給状況に左右されやすい資材です。

値上がりはいつ現場に反映されるのか

値上がりはいつ現場に反映されるのか

ホルムズ海峡のリスクが出たからといって、すべての建築資材が翌日に値上がりするわけではありません。実際には、次のような時間差があります。

まず、原油やナフサなどの市況価格が動きます。次に、化学メーカーや素材メーカーの仕入れコストが上がります。その後、メーカーが価格改定を発表し、商社・問屋・販売店の在庫が入れ替わるタイミングで、現場の仕入れ価格に反映されます。

そのため、リフォーム会社や建設会社が体感する値上がりは、数週間から数か月遅れて出ることがあります。反対に、原油価格が下がった場合でも、すぐに建材価格が下がるとは限りません。高値で仕入れた在庫、物流費、人件費、為替、メーカーの価格政策などが残るためです。

リフォーム会社・建設会社が取るべき対策

リフォーム会社・建設会社が取るべき対策

建築資材の値上がりは、経営に直結します。

特にリフォーム業では、見積提出から契約、着工、完工までに時間差があるため、資材価格の変動を見積に反映できないと利益を圧迫します。

まず行うべきことは、見積書の有効期限を短くすることです。資材相場が不安定な時期に、1か月以上前の単価で契約すると、着工時には仕入れ価格が変わっている可能性があります。

次に、塗料、シンナー、防水材、接着剤、塩ビ管、断熱材など、石油化学由来の資材は重点管理品目として、仕入先に納期と価格改定予定を確認しておくことが重要です。

また、契約書や見積条件には「著しい資材価格変動が発生した場合は協議する」旨を入れておくと、急激な値上がり時のトラブルを防ぎやすくなります。

さらに、代替品の提案力も重要です。特定メーカーや特定材料に依存しすぎると、品薄時に工期が止まります。性能、保証、施工性を確認したうえで、複数の選択肢を持っておくことが、現場の安定につながります。

施主への説明で大切なポイント

施主への説明で大切なポイント

施主に価格改定を説明する際は、「中東情勢で高くなっています」だけでは納得されにくいです。大切なのは、建築資材と原油・ナフサ・化学原料の関係をわかりやすく伝えることです。

たとえば、次のように説明すると伝わりやすくなります。

「外壁塗装や防水工事で使う塗料・シンナー・防水材には、石油由来の原料が多く使われています。ホルムズ海峡の通航リスクが高まると、原油やナフサ、溶剤原料の価格が上がりやすくなり、メーカーの価格改定を通じて工事原価に反映されます。そのため、見積有効期限内でのご判断をお願いしています。」

このように、単なる値上げではなく、サプライチェーン全体のコスト上昇として説明することで、価格改定への理解を得やすくなります。

よくある質問

よくある質問

ホルムズ海峡が封鎖されると、すぐにシンナーがなくなりますか?

すぐに全国でシンナーがなくなるとは限りません。政府は石油製品や化学品の安定供給に向けた対応を進めており、ナフサについても在庫活用や中東以外からの輸入、国内精製などの対策が示されています。ただし、一部地域や一部流通では供給の偏りや目詰まりが起きる可能性があるため、現場単位では納期確認が必要です。

ガソリン代だけでなく建築資材も上がるのはなぜですか?

原油は燃料だけでなく、ナフサを通じて化学品の原料にもなります。ナフサから作られる基礎化学品は、プラスチック、ゴム、溶剤、塗料などに使われます。そのため、原油価格の上昇はガソリン代だけでなく、建築資材価格にも波及します。

どの工事が影響を受けやすいですか?

外壁塗装、屋根塗装、防水工事、内装工事、配管工事、設備工事、断熱改修、樹脂建材を多く使う工事は影響を受けやすいです。特に塗料、シンナー、防水材、接着剤、シーリング材、塩ビ管、樹脂部材を多く使う現場では、早めの価格確認が必要です。

まとめ

まとめ

ホルムズ海峡が封鎖、または通航しにくくなると、原油やLNGの輸送に不安が生じます。日本は原油の中東依存度が高く、さらに建築資材の多くは原油から作られるナフサや石油化学原料とつながっています。

そのため、ホルムズ海峡のリスクは、ガソリン代や電気代だけでなく、シンナー、塗料、接着剤、防水材、塩ビ管、樹脂建材、断熱材などの価格にも波及します。

建設会社やリフォーム会社にとって重要なのは、資材価格の上昇を「一時的な仕入れ問題」と考えず、見積期限、契約条件、在庫確認、代替品提案、施主説明まで含めて対策することです。原油、ナフサ、溶剤、樹脂の動きは、今後の工事原価と利益率を左右する重要な経営リスクといえます。

ハレイロ
丸山建設(株)編集部
この記事は、丸山建設(株)の編集部で作成されました。
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